太陽の帝国

太陽の帝国 特別版 [DVD]

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ちょっとネタバレ。感想は以下


クリスチャン・ベールがデビューした映画。子役で主役。ほぼ出ずっぱり。当時の観客はこの子役が二十年経ったらミミズ食う役やるとは思わなかっただろうな。
スピルバーグ監督の映画なんだけど、昔の映画だからか、ほんのちょっとだけETを思わせる。
しかし途中まで見て思ったんだけど、これ昔見たことある。ガッツ石松日本兵の役してたのを憶えてる。当然クリスチャン・ベールのことなぞ憶えていないんだけど…。意味ワカンネ、と思っていたか、途中で見るのをやめたと思う。何しろガッツしか憶えていない。
今見ると…とても面白い映画だったと思う。内容は、上海在住の上流階級の少年が、日中戦争に巻き込まれて両親と離れ離れになり、色んな人々との出会いによって生きることにたくましくなっていくという、少年の心の成長を描いた物語。途中までは。ほんと、途中までは男女入れ替えれば宮崎アニメにでもできるくらいなんだけど…。
途中からは、少年がたくましさと引き換えに失ったものを悲しむ物語になる。周囲に大人はたくさんいるのに誰からも愛されず、子供らしさを失いながら、ただ生きのびるためだけに成長していく少年。米軍の爆撃機を間近で見ながら狂ったように興奮し、教師にそれを止められたとき、「両親の顔も思い出せない」と言うシーンは鳥肌が立った。唯一心の交流のあった特攻隊の少年兵?(&自分の子供らしさ)を蘇生させようとするシーンや収容所を自転車で駆け回るシーンでも、目には悲しい狂気が宿っている。両親との再会シーンでは、空虚な「何も見ていない」目になる。かわいそうで泣ける。クリスチャン・ベールには「むずかしいわこの役… ここで”目”の演技が出来なかったら芝居がこわれる…!」と北島マヤみたいに言ってほしい。しかしほんとに子供かこの子は。あまりにも芸達者すぎてかわいくない。子供らしくない。
劇中に登場する日本軍兵士は、とてもアメリカ人が作った映画だと思えないほどにかっこよく、かつ優しく、潔く、厳しく、とても悲しい。日本人である私が見ても萎えないくらいの出来。すごいぜ。伊武雅刀の姿勢のよさがすごくかっこよくて、見た後私まで姿勢がよくなった。剣の扱いも上手いなー