3時10分、決断のとき

クリスチャン・ベール出演最新(でもないんだけど二年前だから)作、ってんで新宿ピカデリーで見てきた。近いところでは川崎の109でやってたけど夕方からの回だったから見れず、朝イチからやってる新宿に行くしかなかった。今の私の状況で東京まで出張するのはかなり周囲に迷惑かけるから、せめて県内で見たかった。6スクリーンて少なすぎる!
それにしても、私以外の観客がほぼ全員60〜70台のじいちゃんかじいちゃんと一緒に来た奥様だったのは…どういう…。朝早かったせいだと思いたい。私の予想ではクリスチャン・ベールのファンの女子がキャッキャウフフしながら大挙して見に来てるんじゃないかと思ってたのに…。そもそもあの空間には若い女性が一ミリも存在していなかった。
みんな見に行こうぜ!面白いよ!!

感想は以下。ネタバレ。


名作のリメイクだからか、驚くほど面白い映画。ロードムービーっぽくもあり、ガンアクションもふんだんにあり(冒頭の駅馬車襲撃シーンは出色の出来)、涙あり笑い?ありで二時間飽きさせない。西部劇っぽい音楽でノリノリになれるし、私みたいに西部劇を一作も見たことなくても面白く見られる。映像や脚本がカンペキに「西部劇」しているのに、それでいて中身は時代関係のない、濃い人間ドラマ。そして現代的な化粧を施されていない、純粋な「悪」がある。そして「善」もある。この映画はもっと評価されるべき。ダークナイトを別格とすれば、ベールのここ数年の出演作の中では一番いい映画だと思う。
それにしてもラッセルさんカッケー!!!こういうコスプレ映画のカリスマ役やらせたらラッセル・クロウに敵う役者いない。チャーリーの役の人も相当イカレ野郎な感じでとても良かった。最後ウェイドに撃たれる場面は顔が毛むくじゃらすぎて人間以外の何かに見えたけどw
クリスチャン・ベールは借金だらけの牧場主・ダンで、金のためにラッセル演じる悪のカリスマ・ウェイドを汽車に乗せるまで護送することになってしまった!どうなるお父さん!!生きて帰れるの!?という役。しかし金のためと思いきや、実は戦争で片足を失ってからまるでダメなオっさんになってしまった自分を恥じ、まるでダメなオっさんを見るような目で自分を見る息子や妻の尊敬を取り戻したい一心で、手下どもがバンバン撃ちまくってくる中、たった一人でウェイドを護送しようとする。そんなダンに心を動かされ、ウェイドは自ら自分の護送に手を貸し、ダンを撃った自分の手下を皆殺しにし、自ら汽車に乗り込む。ダンの「誇り」を汚さないために。男臭い話だ。「アリゾナ!男塾」だ。このラストは驚くし泣ける。チャーリーなんかぶっちぎるくらいのイカレ野郎なウェイドさんマジパネエっすwイカレ具合と義理がたさと人間らしさがウェイドの魅力なんだな、だから悪党どもがみんなついてくるんだなと思った。
そんなラッセルさんのどこまでも人間くさい分かりやすいセクシーさに比べると、クリスチャン・ベールの演じるダンは、まあいつものクリスチャン・ベールらしい役ではあるけど、内面での葛藤(いつも冷静に見えるから外に表れにくい)が心理描写の多くを占めている。
しかしこの人が人間くさい役をやってるときいつも思うことは、こういう役すごく合ってるし上手いとは思うんだけど、あのアンドロイドみたいな目のせいでほんの少しだけ違和感を覚える。何か怖い。クリスチャン・ベールの見開いた目、何かに似てると思ったんだけど思い出せなくて、さっきたまたま野鳥図鑑を開いたら思い当たった。鳥の目だ。特にオオコノハズクオオタカに似てる。鋭くて力があるんだけど、まるで感情のない冷たい目。T4の監督が最初ベールにマーカス役をオファーした気持ちが今はよく分かるわー。一回人外を演じてみるべきだと思います。私のために。