蒼天航路をよんだ
- 作者: 王欣太,李學仁
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/12/12
- メディア: コミック
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正史寄り(「正史通り」ではない)で曹操が主人公の三国志まんが。戦闘シーンのかっこよさではいまだ小説を超えられてないような気がするけれども噂にたがわぬ名作・大作でした。以上。
…っていうのはあまりにもあれなので少々雑感を。
このまんがはそもそも、後世ずーっと悪役にされてきた曹操にスポットを当ててワルモノ扱いから救済しよう!という心意気でもって書かれているらしいのでこういう文句は的外れかもしれんのですが、曹操をかっこよく描けば描くほど、曹操を他のキャラクターにこれでもかと畏怖させ口を極めて賛美させるほど、どうしようもなく安っぽく魅力のないキャラクターになってしまうのが心底残念。あれだけ登場回数の多い主人公なのに、他のキャラクターの個性の強さに思いっきり食われてる。董卓も呂布も劉備も孫権もそれぞれにアクが強くて人間くさくてとっても魅力的だし、演義系のお話では個性が無視されがちな曹操の幕臣たちもそれぞれすごくよく描かれているのに(特に軍師連中の書き分けがスゲエ!)、何で主人公だけがこうなるんだorz
やっぱり人にはかわいげというものが必要なのかも。散々負けてみっともない姿さらしてた吉川版の曹操の方が、異様に魅力的であったがごとしで。大好きだったよあの曹操。まあでもパーフェクト超人の方がカッコイイという人もいるし、その辺は好みかもしれないけど。
その点白眉なのは劉備のキャラクター造形でしょうか。ていうかそのまんま劉邦じゃんこれというツッコミを随所でしつつも楽しく読めました。作者は劉備の方が好きなんじゃ?(むしろ劉邦かも)関羽と張飛と趙雲もなんだかえらくかっこいい。ただぼくらのヒーロー諸葛亮はすごいことになってました。変態気味なのはまあ置いておくとして、普通に妖怪じみてるんですけどこの人(人…?)。神仙のフンイキがあるとかなんとかいう問題じゃなく、アンタ人間じゃないから!全てにおいて。ほんとに妖怪だったら風向きくらい変えられるわな。なんで髪の色とヒゲの色が違うんだろうと思ってたら、現実に目覚めて妖怪をやめ、真人間になって黒髪になった模様。…こんな(人間かどうかも)怪しいやつに軍師を任せようなんて普通思わないと思うのだが。
このまんが36巻までしかないらしいのですがどこで切るつもりなんだろうか。やっぱり曹操の死で終わるのかな。
とっても面白いけど、主人公のセリフが上滑りしているからかどこか読みづらいまんがでした。今度こそ以上。