董卓はグロかっこいい

秘本三国志 (1) (文春文庫 (150‐6))

秘本三国志 (1) (文春文庫 (150‐6))

正史を元にした、蜀びいきをせず曹操が悪玉でない三国志。正直もうその手の宣伝文句は聞き飽きたのですが、1982年という演義系全盛の時期(ちょどその年に「人形劇三国志」が放映されている)に発行されたということなのでこれは当時としては画期的だったのだろうなあと。斬新だからといってトンデモ系なのではなく、真面目に誠実に正史に向き合っている姿勢が頼もしい。曹操劉備にわざと背かせて袁紹劉表陣営に潜り込ませていた!という設定は非常にきょうみぶかいです。しっかし三国志ものって、誰がどんなに曹操を正しくかっこよく書こうとしても、結局は劉備の話になっちゃうんだよなあ…。
途中まで読んだ感想は、陳舜臣の他の三国志ものもそうなんですが、誰びいきだとかそんなんじゃなく宗教指導者たちがいかに英雄たちの天下獲りを支えたかという、ちょっと陰謀史観的な描き方をしていると思いました。序盤では少容(張魯の母)をめぐる男どもの(あほな)ドタバタ劇が面白かったですw男女逆転少女漫画だよそれじゃ!