黄氏萌え

大本命の陳舜臣。本当は↓を読みたかったんだけども下巻しかなかったので予約して他のを借りてきました。

曹操〈上〉―魏の曹一族 (中公文庫)

んで今回読んだのはこっち。

諸葛孔明 陳舜臣中国ライブラリー (15) (陳舜臣中国ライブラリー)

正史を元にした諸葛孔明の伝記小説。独自視点が色々盛り込まれているにしろ、内容はひじょうに堅実なので、読んでて思わず首を傾げるということはありません。ただ、面白いと感じるのは前半、入蜀するまでかなあ。特に劉備の死以降は気がそぞろというか、平坦すぎて出来事を確認するくらいの描写しかないので残念です。枚数が足らないのでは。「平和のため」っていう志も、後半にはうそくせー感じに思えてしまう。
前半は民草の目で見た三国志、という感じで興味ぶかいです。とくに劉備の人物造形が素晴らしい。ズルしていただきなところとか、何もかもいやんなってぜんぶ放り出して逃げたくなっちゃうところとか、テキトーでおおざっぱなところとか、自分の一派の中では唯一智謀の人という（似合わない）役割を（こっそり）演じてたりとか、天然タヌキ親父だったりとか。おまえらいいコンビだよ。
演義系の小説では、前半：イヤな奴（主観）・後半：悲劇の主人公という感じの孔明先生ですが、この小説では、前半：うだつのあがらない頭でっかち・後半：過労死寸前で視野狭窄というキャラになっています。…すげーネガティブな感想になってしまった（愛と関心のなさが露呈）。まああれだ、優秀なんだけど仕事量と私心がないことだけが取り得の名宰相。ってまたネガティブになっｔ(ry
そんなわけでこれを読んで孔明先生が好きになるかと言われれば微妙なんですが、こまやかな人物描写がされている前半部分は必読かと。すごいです。